脳振盪教育の効果はどのくらい?
こんにちは。大野です。
前回脳震盪の知識レベルについて記事を書かせてもらいました!
前回の記事では大学のクラブに所属しているアスリートがある程度高い知識レベルを持っていることが分かりました。
ですが中には正しく脳振盪の症状を認識できなかったりというリスクがあることが分かりました。
そこで今回は教育の段階としてこの論文を紹介します!!
この論文はサッカー選手を対象に行っているんですけど、教育プログラムをどのように開発し、それを評価しているのか具体的に記載してあって非常に面白かったです!
それでは早速内容に映りましょう!
【題名】
プロサッカー選手に対する脳振盪教育モジュール:実用可能性と効果へ向けたシステマティックな発展
【背景】
脳震盪はそのコリジョンスポーツにおける発生率の高さや、短期的かつ長期的な影響から、マネジメントだけではなく、予防に対しても重要視がされている。
例えばラグビーにおいては脳震盪を含む傷害の減少を目的とした予防とタックルテクニックへのコーチングに対する重要性が広く受け入れられている。
一方サッカーにおいても脳震盪の発生率はそこまで高くはないものの、選手や運営者、メディカルスタッフへの徹底した教育の必要性が強調されている。
そういった背景に伴い、国際サッカー選手会(FIFPro)はプロサッカー選手に対する脳震盪の教育モジュールの開発と実施を始めた。
【目的】
作成した脳振盪教育モジュールの実行可能性や知識や態度を向上させ得るかどうかの検討を行う。
【方法】
①現役であり、②16歳以上で、③英語を読み、理解することができるプロサッカー選手を対象に行った。
脳振盪に対する知識と態度に対しては Rosenbaum Concussion Knowledge and Attitude Survey(RoCKAS)のConcussion Knowledge Index(CKI)※とConcussion Attitude Index(CAI)※※を用いた。
・実行可能性に関してはこの脳振盪モジュールの①適切さ、②付加価値、③形式の適切さ、④動画の長さの適切さの4項目を5段階評価で回答してもらい調査した。
・CAIとCKIはモジュール前後に測定され、実行可能性はモジュール後に測定された。
※ CKI:正誤問題や脳振盪の一般的な理解についての問題を含む。0~25点で評価される。
※※ CAI:1~5のリッカート尺度を用い、最も安全な行為を反映した答えを選ぶ。15~75点で評価される
【統計】
CKIとCAIのモジュール前後比較
→ウィルコクソン符号順位検定
【結果】
・CKIにおいて有意な変化は見られなかった。(Z=213, p=0.16)
・CAIにおいて有意に向上がみられた。(Z=331, p=0.01)
・動画の長さと形式に関してはすべての被検者が肯定的な評価を示した。(100%)
【結論】
今回の脳振盪教育モジュールの開発はプロサッカー選手のより良いCAIへとつながった。
【自分のコメント】
今回の論文で気になるのは、同じテストをモジュール前後で行ったように見えることで会う。
同じテストを行えば、点数が上がることは想像できるので、果たしてその影響はどの程度あるのだろうかということですね。
いずれにせよ、脳振盪に対する態度(CAI)が向上したのは非常に重要な点だと感じています。
脳振盪の疑いがあると自身で気づいていても隠す人がいるというのは先行研究でも明らかになっています。
この点に関して、その隠ぺいを抑制する因子となればいいですね。
そう考えると、行動心理学のプロフェッショナルとともに教育モジュールの作成をしていく必要がありそうですね。
自分も日本において使える教育モジュールを作りたいものです。
今回は以上です!
それでは・・・。