脳振盪を知ってる?報告する?~大学クラブスポーツver~

皆さんこんにちは。大野です。

 

皆さん、そもそも脳振盪をご存知ですか?

今回その詳細を述べるのは見送りますが、脳振盪について正しい知識を持つことは大変必要です。

 

なぜか?

それは脳振盪になったとき、それを脳振盪と正しく認識できることが必要であるからです。

 

脳振盪の症状は足関節の捻挫や骨折などと比べ、頭痛や怒りっぽくなるなど、脳振盪と直接的に認識できる、脳振盪独特のものではありません。

 

だから知識がないと今の状態を脳振盪と気づかずにプレーしてしまう、みたいなことも起こりりますよね。

 

 

今回はアメリカの Duquesne University の Beidler が発表したこの論文です!

https://natajournals.org/doi/pdf/10.4085/1062-6050-266-17

 

忙しい人のために結論だけお伝えすると、「大学のクラブに所属するアスリートはスポーツ関連脳振盪に関する知識は多く持っているものの、必ずしも報告行動まではつながらない」とのことです。

 

それでは早速内容にいきます!

 

目次

 

 

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【題名】

スポーツ関連脳振盪:大学クラブに所属する知識と報告行動

 

【背景】

先行研究においてスポーツ関連脳振盪(SRC)に関する知識レベルと報告行動に関する調査は高校と全米大学協会(NCAA)に所属するアスリートに限られており、大学クラブに所属するアスリートにおける研究は限られている。

 

【目的】

大学クラブに所属するアスリートのSRCに関する知識レベルと報告行動の実態を明らかにし、traditional sportsと nontraditional sports のクラブに所属するアスリートのそれらの違いについて調査する。

※シーズン後のNCAAチャンピオンシップにて行われる種目(例:ホッケー、サッカー、体操等)

 

【方法】

大学クラブに所属するアスリート410名(男性247名、女性163名、traditional=244、nontraditional=165)を対象に調査が行われた。

 

①SRCの兆候や症状を問う〇✖クイズ、SRCの一般的な知識を問うテストの2つに回答する。

 

②「なぜSRCの報告しなかったのか」に回答

 

 

【統計】

・traditional と nontraditional のSRCに関するテストの点数比較

→ANOVA(p≦.05)

 

・大学クラブのタイプとSRCの報告をしなかった理由の関係性を調査

→カイ2乗検定(p≦.05)

 

 

【結果】

  • SRCの兆候や症状に関するテスト結果は全体的に高い値を示した。(29点中01±3.19)

 

  • SRCに関する一般的な知識テスト結果は43点中49±4.16となった。

 

  • 伝統的なクラブと非伝統的なクラブのSRCに関するテスト結果では違いがみられなかった。

 

  • 最も共通していたSRCを報告しない理由は“SRCを大した傷害だと認識していない”であった。

 

  • SRCを報告しない理由して以下の5つにおいて有意な差がみられた。(下表参照)

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SRCを報告しない理由とクラブのタイプに関する表

 

【結論】

大学のクラブに所属するアスリートはスポーツ関連脳振盪に関する知識は多く持っているものの、必ずしも報告行動まではつながらない可能性が示された。

 

 

【私のコメント】

今回の研究で重要なのは測定方法であると思います。

今回SRCの知識レベルの測定に Mihalik の開発したテストに少し手を加えたものを使用していました。

また報告行動の測定は McCrea によって開発され、Wallanceにより手を加えられた手法が用いられていました。

 

これらのテストが作られた過程についてよく調べて、今回の実験対象に対して用いることが適切だったのかどうかも検討する必要がありそうです。

 

 

ちなみに私はアメリカでトレーナーのインターンをしたことがあるのですが、向こうでは脳振盪の啓発が非常に盛んでした。

日本とアメリカでは大分環境が違うので、そのまま日本に当てはめることは当然できません。

 

ただ、やはりアメリカでは脳振盪の知識レベルは最低限持ち合わせているんだなと。

 

日本における海外との比較と報告行動まで見据えた教育プログラムの開発などについて研究を行えると楽しそうですね。

 

それでは本日もありがとうございました。